土木・建築書協会 会長あいさつ

 現在の出版界は一般的に「読書離れ」といわれる現象により,新刊の出版点数は多いものの発行される冊数は年々減少の一途をたどっています。特に学術専門書はそれに加えて電算機の著しい発達や磁気テープ,ビデオなどの出現とコピー機械の急速な普及等により減少傾向が加速されていると思います。
 私ども学術専門書の出版社といたしましては,このような時代の趨勢に対応するために,書籍を一つの学術情報伝達のメディアとしてとらえ,読者の求める学問的,技術的情報を迅速に把握し,著作編集上の質的内容においても読者の支持を得られますよう日夜腐心しております。そして,それらの出版物を全国津々浦々の読者にお届けできますよう,流通面においても,また広報面においても遺漏のないよう当協会のメイン活動として万全を期しております。
 私ども土木・建築書協会は,昭和56年8月1日に発足したまだ2歳の幼児であり,加盟出版社も僅か11社に過ぎませんが,その志向するところは土木建築書の質的向上と必要とされる本が迅速に読者の手に届くようにすること,この二つを実現することを目的として加盟出版社間の利害を超えて同士的な結合により誕生した協会であります。
 この2年間,小団体としての創立の苦労をいろいろと味わってまいりましたが,幸いにも読者の代表とも言うべき建設諸団体のご後援を頂き,また書店のご協力によるブックフェアは盛況でありましたし,読者各位の情報誌として「土建書新刊ニュース」は読者ばかりでなく取次さん,書店さんからもご好評を頂いております。
 このように,この2年間の当協会の活動は着実にその基礎を造ってまいりましたが,今後さらに皆様のお役に立つよう会員社11社が一致団結して種々の事業を推進してゆく所存でおりますので,一層のご支援を賜りますようお願い申し上げる次第です。

関根 隼治(丸善出版事業部長)

(「土木建築書新刊ニュース」第17号巻頭より)

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